街の温度が少し変わる、店先の光
東京・世田谷区、砧の住宅街に佇む as is to be Art and Cafe は、控えめなガラスのファサードが目印だ。 大きな看板や無理な装飾はなく、扉の隅に描かれた犬の線画が、街の流れの中に自然な間をつくっている。
店内は白と木を基調にした、光と影のバランスを大切にした空間。 壁には、店主/アーティストによる犬のイラストやポートレートがさりげなく飾られ、 訪れる人のペースに応じた居場所を静かに提供している。
カフェとしては、季節のドリンクと軽食を軸に構成されている。 コーヒーやハーブティー、そしてそのときの季節を映したドリンク。 甘すぎず重すぎず、軽やかな口当たりが、通りから切り替わるひとときにほどよく馴染む。
ホットサンドやランチボックスなど、軽食メニューも揃っており、 “ギャラリーを見るための準備”というより、日常の延長で立ち寄れる実用性がある。
そうしたバランスが、この店の第一印象をつくっている。
犬のポートレート — 写真から“らしさ”をすくい取る手仕事
この店の特徴のひとつは、愛犬のポートレートを注文できること。 依頼方法は、飼い主が持参する写真数枚をもとに、店主=アーティストが描き起こすスタイル。
その仕上がりは、ただ似せるだけではない。 毛の流れ、瞳の奥の光、姿勢の癖――写真に写る情報をもとに、 その子ならではの“空気”を絵の中に持ち込む。 飼い主自身が言語化しづらい「この子はこの表情がいいんです」「この姿勢がらしいんです」という感覚を、 絵の線と色の端々に落とし込んでくれるような、丁寧な描写だ。
さらに、仕上げのスタイルをいくつか選べる点も魅力。 線のみを活かしたミニマルなタッチ、 陰影を効かせて立体感を出すリアル寄り、 構図やバランスを意識したグラフィック寄り―― 内装や部屋の雰囲気に合わせて、自分が思い描く“その子の絵”を選べる。
たとえば依頼したポートレートは、細部の質感と全体の存在感が両立した一枚として仕上がっていた。 部屋に飾っても違和感がなく、 犬という存在をもう一度、“視界の中の層”として見直すきっかけになった。

この“余白を編む仕事”が、この店をただのカフェ以上の場所にしている。
カフェ × ギャラリー × ライフスタイル —— 重なる機能がひらく、街のハブとしての気配
as is to be Art and Cafe は、カフェであり、ギャラリーであり、 愛犬のポートレートを相談できる場所でもある。 その複数の役割が、店内で境界なくつながりあい、 一つの空間の中で自然に重なっている。
壁の絵を眺める人、ポートレートを受け取りに来た人、 季節のドリンクを楽しむ人、犬と静かに過ごす人。 異なる目的の人たちが、同じテンポの中に無理なく並んでいるのが印象的だ。
軽食、ドリンク、雑貨、アートワーク。 どれか一つを軸にしているというより、 複数のレイヤーが重なって店の空気をつくっている。 日常の中に、ほんの少し余白を足すような感覚に近い。
そして、この“重なり方”が、 店を小さなコミュニケーションのハブへと自然に育てている。 犬同士が挨拶する流れで飼い主同士の会話が生まれたり、 ポートレートの相談がきっかけで絵の話に広がったり、 同じ空間を共有することで、小さなつながりが静かに生まれていく。

展示の入れ替わりや雑貨のセレクトにも余白があり、 ここから小さな集まりやワークショップへ広がっていきそうな気配もある。 あらかじめ決められた“役割”ではなく、 場の雰囲気に沿って、自然に可能性が立ち上がるような柔らかさだ。
訪れる理由が一つに絞られない場所。 その曖昧さこそ、この店が街の中で 穏やかなハブとして機能していく根元になっている。
散歩の延長に、ひとつ“居場所”があるだけで
信頼できるコーヒー。軽めの食事。 愛犬の姿をひとつのアートに変えるポートレート。 それだけでなく、 “犬との暮らし”と“アート”“日常”を、さりげなくつなぐ場所。
散歩の途中に寄ることも、 週末の気ままな時間を過ごすことも、 あるいは大切な犬の姿を絵として残すことも――
それぞれの目的に応じて顔を変えるこの店は、 街の中にそっと存在する静かな選択肢になる。
アクセス・営業情報
📍 as is to be Art and Cafe 住所:東京都世田谷区砧 3-4-2 アクセス:小田急線 祖師ヶ谷大蔵駅 より徒歩 約15〜16分、バス利用なら「成育医療研究センター前」下車すぐ 営業時間:水〜日 10:00〜18:00/月・火 定休 Instagram:@as.is_to.be_artandcafe 主な特徴:犬連れOK(店内可)、愛犬ポートレートのオーダー受付、グッズ販売、ギャラリー空間
