都会の表参道。表参道駅を降りて骨董通りへ向かう途中、歩道に差し込む冬の午後の光は静かに色を変えていく。その日、その場所にはいつもとは少し違う気配があった。2025年12月13日(土)11:00〜17:00、ワールド北青山ビル1階(港区北青山3-5-10)で「おしゃれな譲渡会」として知られる WOLF LADYのチャリティイベントが開かれていた。入場は無料で、最寄りは表参道駅。
このイベントは単なる“保護犬の譲渡会”という枠には収まらない。犬や猫との出会いを、表参道という都市の生活圏に自然な形で紡ぎ込んだ「体験」として成立させている場だった。日常の散歩道を歩きながら、ふと立ち寄れる余白。そこには、人と動物とが静かに出会う静謐な時間が流れていた。
WOLF LADY — 「表参道駅周辺で、保護犬をもっと身近に感じてほしい」という想い
WOLF LADY の公式ウェブサイトにはこうある。
「犬のレスキューでもシェルター運営でもない、私ができることとして、ファッションと譲渡会を組み合わせたおしゃれな譲渡会を開催しています。1
主催はモデルの桐山マキさん。彼女は「表参道駅周辺の素敵な場所で、譲渡会イベントをしたい」という強い想いから第1回を実現し、友人の協力も得ながらイベントを続けているという。公式サイトの活動紹介には「保護動物の里親に興味がある人、飼えないけど何かしたい人、動物に興味がなくても可愛いグッズを買いたい人など、さまざまな人に楽しんでもらえるイベントを目指しています」と記されている。2
この背景には、保護犬との関係を“重く特別なもの”としてではなく、生活の余白として自然に取り入れられる仕組みをつくりたいという思想がある。都会の街角で起きる小さな出会いには、それ自体が社会への問いとなる静かな力がある。
日常の中の出会い — 会場の空気と体験
当日の会場には、穏やかな犬たちが用意されたブースにいる。Instagram公式では「かわいいちゃん達が大集合」の告知が出され、普段の街並みに溶け込むような空間が演出されていた。
譲渡会への想いが綴られている
この日は 初めて保護猫のブース も設けられたとされ、犬だけでなく猫との出会いも楽しめる構成になっていた。
会場を巡る人々はみな、自然体だ。 通りすがりに立ち寄った人、犬連れで訪れた人、友人同士で楽しむ人、それぞれの装いが静かに空間に溶け込んでいく。都会の街歩きをしながら、ふらりと立ち寄れる余白としての空間は、譲渡会とは思えない“日常に近い体験”を来場者に与えている。
魅力的な出展者の並びを超えると、本日会える保護犬たちの紹介するステージが広がっていた。
ファッションとチャリティ — 自然な支援の形
WOLF LADY のイベントは、ただ犬との出会いを提供する場所ではなく、ライフスタイルとして支援に参加できる仕組みを持っている。譲渡会の告知には、出展ブースでのサンプルセールや雑貨販売についても触れられており、会場にはペット用品だけでなく、人の生活にも寄り添うアイテムが並んでいた。手触りや素材にこだわり抜いたオリジナルスウェットは、どんな体型にも自然と馴染むゆったりしたシルエットで、犬と一緒の散歩にも街歩きにも似合う。胸元や背中にあしらわれたモチーフイラストは、このイベントでしか手に入らないという特別感に満ちている。
愛犬の横顔や足跡をさりげなく落とし込んだそれらは、普段の装いにも溶け込む洗練された佇まいで、来場者が自分の感性で選ぶ楽しみを生んでいた。各出展者はこの譲渡会イベントに合わせてオリジナルのアイテムを用意してきており、見るだけでも手に取りたくなる品々が揃っている。
また、ペットフードのブースでは、普段は人間用として流通するヒューマングレードのうなぎの頭を有効活用し、犬用の栄養満点おやつに加工して提供するブランドも出展していた。うなぎの頭は通常廃棄されがちな部位だが、タンパク質や脂質が豊富なため、健康を考えるオーナーにとっても魅力的な選択肢として紹介されていた。このように、来場者は犬への日常的なケア用品やフードだけではなく、自分も欲しくなるような服飾アイテムや雑貨、食体験を通じて支援に参加できるのだ。
こうした空間は、来場者が自分の感性でアイテムを手に取るなかで、支援につながる仕組みとして成立している。買い物を楽しむことがそのまま譲渡支援や保護活動への貢献につながる——そんな余韻を、日常の中にそっと落としていく場になっている。
モチーフとなっているフレブルのこはるちゃんのイラストは至る所に。
「支援」という言葉は重くとらえられがちだが、ここでは “買うこと”“見ること” が結果として社会貢献に繋がる。譲渡エリア、展示ブース、そして物販スペースはひとつの静かなストリームとして繋がり、来場者自身が支援の輪の一端を担う構造になっていた。
都市生活者の余韻 — 静かな結び
夕方になり、会場を後にする人々の笑顔が静かに街中に溶けていく。 お気に入りの雑貨を手にする人、犬と一緒に歩く人、友人と穏やかに語らう人。 誰もがこの場所で何かを持ち帰る。
WOLF LADY の譲渡会は、犬を迎える人「だけ」のための場ではない。 *日常の歩幅のなかで、社会貢献を体験として受け取る余白として成立していた。 表参道という都会の文脈のなかで、そんな“静かな交差点”が生まれている。
