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クロム、パリへ行く —— abu Paris支店長の渡航日誌~書類編~

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クロム、パリへ行く —— abu Paris支店長の渡航日誌~書類編~

東京からパリへ。クロムの渡航に必要だった3つの書類と、想定外のあれこれ。

犬と海外に渡るという選択は、旅の話ではなく、手続きと準備の連続だった。 たくさんの証明書、英語の申請フォーム、見慣れないルール。 それでも、少しずつ不安を超えて、クロムはフライトに乗った。

これは、“完璧な渡航マニュアル”ではなく、 書類と向き合いながら進んだ準備の記録だ。

 

》クロム、パリへ行く —— abu Paris支店長の渡航日誌〜渡航編〜1

前提としての判断

フライトの時間よりも、準備の積み重ねと、どこに身体と心の重心を置くかの判断が、あとになって鮮やかに残る。 犬を連れて国境を越えるという行為は、旅の延長ではなく日々の延長線上の選択だからだ。

 

日本からフランスへ向かう場合、必要な証明や検査の条件がどうなっているのか、先に土地のルールを知る必要がある。フランスは、日本が狂犬病清浄国とされることを前提に、一般的に必要とされる狂犬病抗体検査証明書を免除している制度を採っている。 その事実を本当に確かめるために、何度も電話で確認した。制度の理屈を読み解く以上に、現実の声の中に「安心」へのヒントがあった。

 

ただし、この制度が適用されるのは「フランス入国に限る」という制約もある。 帰国の可能性がある場合、やはり抗体検査証明書を用意しなければならない。証明書の有効期限は約2年なので、その間に帰国する予定がないのであれば不要だが、もし必要になった場合は最短でも7ヶ月ほどの準備期間が必要になる。

クロムのケースでは帰国予定が今のところないため、 必要だった書類は、次の3つ。

 

  • 犬の輸出検疫証明書
  • 狂犬病予防接種証明書
  • マイクロチップ登録証明書

書類それぞれの意味と、順序の重み

渡航に必要な書類は、3つだけだった。 数としてはきわめてシンプルに見える。2

犬の輸出検疫証明書

3つの書類の中で、最も手間と時間を要したのが「犬の輸出検疫証明書」だった。 用意するだけ、ではない。申請先とのやり取りを含めた数日のプロセスが、準備全体の中でもっとも印象に残った。

申請は紙でも可能だが、今回は電子申請システム「NACCS(ナックス)」を利用。 まずは利用者IDを取得し、英語で構成された申請フォームをひとつずつ埋めていく。 慣れない言葉に迷いながらも、「これは犬の登録番号だな」「これは生年月日か」と、項目の意味が少しずつ見えてくる。

フォーム入力を終えると、マイクロチップ証明書や予防接種証明などの添付が必要になる。 しかし、それらは別途メールで送る必要があり、最初は仕様のわかりづらさに少し戸惑った。 送信後、数日で「確認できました」と返事が届き、そこから数回、修正のやり取りを重ねて完成へ。

 

この間に、輸出検査の日程も予約。 検査は出発の10日以内と定められており、今回は出発3日前に設定した。

「犬の輸出検疫証明書」とは、紙1枚ではなく、やり取りの軌跡である。 少しずつ整っていくその過程自体が、「海外に犬を連れていく」という行為の重みを教えてくれるものだった。

狂犬病予防接種証明書

狂犬病予防接種は、毎年実施していたため、証明書の用意自体は難しくなかった。 ただし、ワクチンのロット番号の記載が必須となるため、その点は事前に確認が必要だった。

証明書にロット番号が記載されていない場合、 動物病院での再発行や追記対応が必要になるケースもある。 書類準備の段階で、形式と記載内容をきちんと揃えておくことが重要になる。

マイクロチップ登録証明書

一方で マイクロチップ登録証明書は、より身体に近い位置にある。 チップは身体の内側に埋め込まれ、犬の存在を唯一無二のものとして記録する。 クロムの場合、ブリーダーの段階で規定のISO方式に対応したマイクロチップが入っていたため、オンラインで登録証明書を出すだけで済んだ。 渡航の安心に寄り添う細い糸だった。

検疫当日と想定外の対応 — 書類の先にあるリアル

検疫当日。 必要書類をすべて揃え、クロムは羽田空港の検疫所へ向かう。 マイクロチップの照合と書類の確認が静かに進む。形式的な作業に見えて、ひとつひとつが確かに送り出す実感につながっていた。

無事に証明書が発行され、出発の準備は整った──はずだった。

出国当日は空港には余裕をもって到着していたが、クロムがクレートで過ごす時間を減らそうと、チェックインをギリギリまで遅らせた。 結果、締切を過ぎてしまい、「本日はもうご搭乗いただけません」と告げられてしまった。振替便が翌日に取れたのが救いだった。

だが、ここでもう一つの問題が浮上する。検疫証明書の日付が「今日」のままになっている。 慌てて検疫所に連絡を入れると、「修正できます」と静かに対応してもらえた。現地で即日修正し、再び出発に備えられた。 案外柔軟に運用される制度の余白があることを知る。

 

それに反比例するかのようにフランス到着後の入国は拍子抜けするほどあっさりしていた。 書類もマイクロチップも問われない。日本発であることの信頼が、そこにはあった。

ちなみに、搭乗頭数は便ごとに制限(この便は4頭まで)。渡航費は約¥40,000で、空港で当日支払い。 細かな実務の積み重ねが、ようやく「到着」という実感に変わっていった。

書類についてのまとめ

この記録は、日本からフランスへ犬を連れて渡航する場合の一例として整理している。条件や制度は国や時期によって変わるため、実際の渡航時には必ず最新情報を確認してほしい。

 

犬の渡航に必要な書類一覧(日本 → フランス)

書類名準備時期備考
犬の輸出検疫証明書出発の10日前までに申請開始NACCSで申請。書類送付・修正対応あり。検査日は出発の3日前に設定。
狂犬病予防接種証明書出発前までに最新の接種を済ませるマイクロチップ装着後の接種が必要。ロット番号記載必須。
マイクロチップ登録証明書出発の数週間前までに取得規定規格(ISO 11784/11785)に準拠。証明書はオンライン印刷可。
(参考)狂犬病抗体検査証明書帰国予定がある場合は出国前に有効期限は2年。未取得だと日本帰国時に7ヶ月以上準備が必要。

現在クロムは16時間を越える距離を静かに越え、 新しい生活のスタート地点に立っている。 この記録が、どこかの誰かのそばで ささやかな光を灯すことがあれば。

Footnotes

  1. クロム、パリへ行く —— abu Paris支店長の渡航日誌〜渡航編〜

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