曇りがちな都会の朝。 通りすぎる人々の足音の間に、ぽってり丸い背中が優しく揺れる。 そのときふと気づく――この子はただ「犬」ではなく、 “街の気配を変える存在” なのだ、と。
そんなフレブルには、人はつい“あだ名”をつけたくなる。 “Batpig”––それは、コウモリのような大きな耳と、ブタのようなまんまるボディを併せ持つフレブルにこそ似合う、 静かに、でも確かに届く愛称。 “Batpig” や “Potato” のような響きは、ただのニックネームではない。 世界中のあちこちで、同じ感覚がひそんでいるように思える言葉だ。
なぜ“Batpig/Potato 的なあだ名”が生まれるのか
フレブルは、そのフォルムからして独特だ。 コンパクトで丸みを帯び、顔はつぶれ、胴はずんぐり。 そして、大きく立ち上がった 蝙蝠耳(bat-ears)。
その形が、無理に美しく整えられた犬ではなく、 どこか“人間らしい不格好さ”──丸さ、ずんぐり感、少しのアンバランスさ──を感じさせる。 そのアンバランスさは、不思議とコンクリートの壁や夜のネオン、都会の空気に馴染む。
“丸さ”と“耳”のコントラストは、 いわば街のレイヤーに溶け込む“影”のような存在感。 そこから自然と生まれてくるのが、「Batpig」「Potato」「Loaf」といった、 どこかユーモラスで、でもどこか本質を掴んだあだ名なのだと思う。
そして、この“名前をつけたくなる感覚”は、日本でも同じだ。 和風の名前──「ぶひ」「ダイフク」「おはぎ」など──が多く選ばれる背景には、 フレブルの丸さや気配が、日本の生活の粒度と自然に重なるからだろう。 食べ物を連想させる名前が多いのも、海外の “Potato / Bun / Bean” と響き合っていておもしろい。
漢字・ひらがな・カタカナで、少しずつ温度の違う“呼び名”をつけられるのも日本らしいところだ。 ひらがなの柔らかさ、カタカナの軽さ、漢字の余白。 その選択ひとつで、その子の“街に置かれる影”のニュアンスが変わる。
こうして見てみると、“Batpig” という海外のあだ名も、 “ダイフク” や “おはぎ” という日本の名前も、 実は同じ方向を見ている。 *丸さ、手触り、生活にすっと溶け込む気配。 違う言語で呼んでいるだけで、感じていることはあまり変わらないのかもしれない。
世界中のフレブルあだ名リスト + 背景イメージ
以下は、主に英語圏を中心に、フレブル飼い主たちが実際に使うあだ名たち── そのままの綴りあり、軽いジョークあり。言語も文化も超えて、どこか同じ“気配”を共有している。
| 愛称 | 文脈・出どころ/情報源 | イメージやニュアンス |
|---|---|---|
| Potato / Spud / Tater-Tot | 「What do you call/slang terms for your Frenchie??」 というフォーラムのスレッドの中で。あるコメントに “Potato” の名が多く使われている。1 まるまる、ずんぐり、親近感。芋のような愛嬌。 | |
| Loaf / Pancake / Meatloaf | “Funny / food-inspired names for French Bulldogs” を紹介する名前リストにも頻出。2 | パンや生地のような“ずんぐり”“ふっくら感”。脱力とユーモアが混じる呼び名。 |
| Piglet / Pork / Pig あるいは “Pig / Bat-Pig / Little Piggy” | Reddit のフレブルコミュニティで“little piggy”、 “bat pig” といった呼び方が散見される。 | 豚的な丸さ・ぽってり感。どこか“ずるさ”と“可愛さ”の曖昧さを含んだあだ名。 |
| Frog Dog (Frog-dog / Frog-Dog) | あるブリーダー/ファンサイトで、フレブルの別名として “Frog Dog” が挙げられている。3 | 後ろ足を広げて座る姿、カエルのようなポーズ。ユーモアと“ずんぐり”のシルエット。 |
| Frenchie / French-bully / French-bulldog の縮み系 | 最も一般的で世界中で使われる呼び名。犬種の由来を穏やかに示す。 | “正式な犬種名の縮み”としての親しみと、由来の血統や文化的背景のさりげないリファレンス。 |
| Bean / Petit / Mini / Little-Bean 系 | 小さな体、コンパクトさを称えるあだ名として名前リストに登場。4 | 小さく、軽やか。体のコンパクトさ、握りたくなるような存在感。 |
たとえば、ある Reddit のスレッドでは――
“Hog dog, Bat dog, Frog dog, Wrinkle head, … Fart loaf, Tater tots, … Bat pig” (1)
というように、同じフレブルに対してさまざまなあだ名が並ぶ。 それぞれが、フォルム・性格・シチュエーション・飼い主のユーモア感覚を映す、言葉のスライスだ。
あだ名が浮かびあげるのは――“犬 = 癒し以上”の存在
“Batpig” や “Potato”的なあだ名は、たしかにかわいさの延長にある。 けれど、それだけでは説明しきれない気配がある。
犬と暮らしていると、日常の輪郭がふっとずれる瞬間が訪れる。 その小さなズレが、むしろ視界をひらくことがある。 歩き慣れた道でも、影の落ち方や風の流れが変わって見える。
ペットというより、“街のレイヤー”。 コンクリートと空気のあいだに、静かに置かれるコントラスト。
丸くて、不格好で、まるで異物のようなのに、 気づくと日常の隙間にすっと馴染んでいる。 その存在感の曖昧さが、あだ名を自然と呼び寄せるのだと思う。
うちの子にも、そんな瞬間があった。 まだ小さかった夏の夜、近所の夏祭りに連れて行ったとき、 通りすがりの誰かが「…たぬきが歩いてる?」と二度見した。 その後も、夜道で若い女の子に「ウォンバットみたい」と笑われたことがある。
どちらも、あながち間違っていなかった。 屋台の光の下で、丸く沈んだ背中。 夜の舗道に落ちる、重心の低い影。 その子がいるだけで、街の見え方が少しだけ変わる。
それ以来、うちでは“たぬき”と時々呼ばれている。本名とは一文字も被らない。 あだ名というより、日常のどこかに自然と生まれた呼び名。 “Batpig” も “Potato” も “たぬき” も、 きっと同じように、犬と街と人との距離をそっと描き出す。
そんな存在が、フレブルという犬種なのだと思う。
あだ名文化から広がるコミュニティと、国境を超えた共感
フレブルのあだ名は、SNS やフォーラム、飼い主同士の会話で自然発生的に共有されてきた。
言葉も文化も違えど、「丸いフォルム」「ずんぐり」「蝙蝠耳」が似ている限り、 そこには静かな共感が生まれる。
名前は違えど、“あの感じ”を知っている人たちは、きっと同じように微笑むだろう。 そんな共感の輪が、フレブルをただの“好きな犬種”以上のものにする。 都市的ライフスタイルの象徴として。日常の余白を映す存在として。
あなたのフレブルをなんて呼んでいる?
Potato でも、Loaf、Frog Dog、Piglet、Batpig でもいい。 大切なのは、その名前の奥にある、あなたと犬の間に生まれる静かな共感。
そのあだ名が、 どんな街の気配や季節の匂いや、生活の粒度を映すかを想ってみてほしい。
