八月の夜には、少しだけ外へ出たくなる理由がある。
今年のペルセウス座流星群は、八月十三日未明を中心に見頃を迎える。極大の十三日は新月。月明かりにじゃまされない、近年でも指折りの好条件だという1。
とはいえ、彼を連れて夜更かしをするなら、勢いだけではなく、準備がいる。 遠くへ行かなくてもいい。何もしない夏の夜を、ほんの少しだけ外に持ち出すための、小さなガイド。
まずは、ベランダ
いちばん近い星空は、家のすぐ外にある。
ベランダや庭から見上げるだけでも、夜の空気は少し変わる。流星は空全体に現れるので、方角を決めすぎなくていい。街の明かりがあっても、十分に暗い場所へ目を慣らせば、ふいに一筋、見えることがある。
彼には、いつものマットを一枚。床の熱が残っていないか、手で触れて確かめる。水を近くに置いて、虫よけは犬に使えるものだけを。人間用のスプレーを彼の近くで直接使わないこと。
十五分ほど、何もしない。 目が暗さに慣れるまでの時間は、ちょうど彼の寝息を聞く時間でもある。
近所の、少し暗い場所へ
もう少し空を広く見たいなら、近所の公園や河川敷へ。
選ぶ基準は、広さよりも安心感。街灯が少し離れていて、足元が見え、車通りが少ない場所。夜の公園は昼と音が違う。彼が緊張しやすい子なら、無理に長居しなくていい。五分で帰っても、それは失敗ではない。
持っていくものは少なくていい。 短めに持てるリード、小さなライト、水、敷くもの、うんち袋。写真を撮るための荷物より、彼が落ち着ける荷物を優先する。
そして、流星を見るときも、彼から目を離さない。空は広いけれど、今夜の主役は、足元にいる。
山あいの宿の庭で
もし旅に出るなら、目的地は「遠い場所」ではなく「静かな場所」で選びたい。
山あいの宿、湖畔のコテージ、灯りの少ない高原。夜、部屋の外へ少し出て、彼と並んで座れる場所があるだけでいい。大げさなアクティビティはいらない。むしろ、予定を詰めないほうが、星を見る夜には向いている。
宿を選ぶときは、犬同伴の条件を事前に確認しておく。客室内のルール、共用部の移動、夜間の外出可否、周辺の足元。星空のきれいさより先に、彼が安心して過ごせるかどうかを見たい。
夜更かしの翌朝は、遅く起きていい。 朝の散歩を少し短くして、涼しい部屋で一緒に眠り直す。それも、犬の日々の旅の一部だ。
見上げるためのメモ
ペルセウス座流星群は、八月十二日の夜から十三日の未明、十三日の夜から十四日の未明にかけてが見頃。夜半を過ぎ、明け方に近づくほど流星の数は増える。東京では十三日の午前三時台がもっとも多いと予想されている1。
放射点は北寄りの空にあるけれど、流星は空全体に現れる。だから、ひとつの方角を見つめるより、楽な姿勢で広く眺めるのがいい。目が暗さに慣れるまで、最低でも十五分ほど。
その十五分を、何もしない時間にする。 スマホを伏せて、彼の呼吸を聞いて、空を預ける。
流れ星は、待っている間の静けさごと、夏の記憶になる。
持ちもの
- 敷くもの
- ひとくちの水
- 短めに持てるリード
- 小さなライト
- うんち袋
- 犬に使える虫よけ
- 帰ったあと、何もしない朝
※夜でも熱が残る地面や、虫、人通りの少ない場所での安全には注意を。犬同伴条件や夜間利用の可否は、訪問先の最新情報を確認してください。
