夜が、いちばん難しい。
昼間はエアコンで整えられた部屋も、眠るとなると話が変わる。人は涼しく眠りたい。犬もまた、快適に眠りたい。そして多くの家庭で、その二つは同じ部屋で、ときには同じベッドで、隣り合っている。
夏の寝室は、ふたつの体温が出会う場所だ。
人は、犬と眠りたい
まず、これがどれほど一般的なことかを確認しておきたい。
1,000人以上を対象としたオーストラリアの調査では、約49%が犬と同じベッドで眠り、さらに20%が同じ寝室(ベッドの外)で眠ると答えた。実に7割近くが、犬と寝室をともにしている計算になる。これは特殊な愛情表現ではなく、ごくありふれた暮らしの風景なのだ。
理由は、おそらく単純だ。飼い主は、犬と眠ることで得られる安心感や安全の感覚を主観的に報告することが多い。隣にいる小さな寝息が、一日の終わりに私たちをほどいてくれる。
「眠りを妨げる」説は、本当か
ただ、こんな指摘もある。犬と眠ると睡眠の質が落ちるのではないか、と。
ここで、メイヨークリニックが行った興味深い研究を紹介したい。2015年、睡眠障害のない健康な成人40人とその犬を対象に、同じ寝室で7晩過ごしてもらい、人と犬の双方に加速度計をつけて睡眠を測定した。
結果は、これまでの通説をやわらかく覆すものだった。寝室に1頭の犬がいる人は、良好な睡眠効率を保っていた。犬が寝室にいること自体は、以前疑われていたほど睡眠を妨げるわけではなかった。
ただし、ひとつ条件がついた。犬がベッドの上にいるか、ベッドから降りているかで、違いが出た。つまり「同じ部屋で眠る」ことと「同じ寝具で眠る」ことのあいだには、小さいが確かな線がある。
犬もまた、あなたと眠りたい
そして、見落とされがちなのが犬の側の視点だ。
飼い主とともに眠ることが犬の睡眠に与える影響を、ポリソムノグラフィー(睡眠脳波検査)で初めて調べた研究がある。それによれば、慣れない環境では、飼い主と一緒に眠った犬は、寝つくまでの時間が短く、睡眠効率が高く、そして深い眠りの時間が長かった——見知らぬ親切な人と眠ったときよりも、はっきりと。
彼らは、あなたがそばにいると、よく眠れる。これは、犬が人に寄せる愛着の深さを示す、静かな証拠でもある。
つまり、一緒に眠ることは、一方的なことではない。互いが互いに、安心を与え合っている。
夏の夜の、しつらえ
そのうえで、夏である。
日本の夏の夜は、なかなか気温が下がらない。人と犬が心地よく眠るには、いくつかの工夫がいる。
寝室の冷房は、夜通し穏やかにつけておくのがいい。短頭種にとって、夜間の高温は昼間と同じくらい危うい。ただし冷風が直接ベッドに当たらないよう、風向きには気を配る。
そして、犬には「自分で選べる」余地を残しておく。ベッドの上が暑ければ、ひんやりした床に降りられるように。寒ければ、また戻ってこられるように。犬がベッドの上と下を行き来できることは、夏の夜にはむしろ理にかなっている。彼が夜中に床へ降りても、それは拒絶ではない。体温の調整をしているだけだ。
同じ部屋で、それぞれの心地よさで眠る。
くっついて眠る夜も、少し離れて眠る夜も、どちらも夏の、正直な愛のかたちだ。
DATA 犬と同室で眠る人は約7割。1頭なら睡眠効率は保たれるが、ベッド上か否かで質は変わる。夏は夜間も冷房を穏やかに保ち、犬がベッドと床を行き来して体温調整できる環境を。
出典 / References
- The Effect of Dogs on Human Sleep in the Home Sleep Environment|Mayo Clinic Proceedings(ScienceDirect)
- Family Dogs' Sleep Macrostructure Reflects Worsened Sleep Quality When Sleeping in the Absence of Their Owners|PMC
- Co-Sleeping between Adolescents and Their Pets May Not Impact Sleep Quality|PMC
- Majority of Dogs Have Bed Privileges|Canisius University
夏のカラダシリーズ
