犬の毛を納めた小さな金のロケットを、黒い袖の手がそっと包むイメージ

AI生成による編集イメージ

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帰ってくる夜のために — 旅立った子の毛と足あとを、かたちにする

故人の髪を身につけたモーニングジュエリーの時代から、人は愛する存在をそばに置いてきた。旅立った子の毛や足あとを、かたちにする方法。

執筆・編集:FRENCHEESE編集部

公開

アイルランドのハロウィンには、死者の魂が家に戻ると考えられてきた習慣がある。1 十月末から十一月初めに営まれるメキシコの死者の日にも、旅立った家族を迎える文化がある。2いなくなった犬をどう覚えておくか。その答えのひとつが、毛や足あとを小さなかたちにして、そばに置くことだと思う。

モーニングジュエリーという習慣

亡くなった人を偲んで身につける「モーニング(mourning=喪)ジュエリー」。十九世紀のイギリスでは、故人の髪を納めた装身具がつくられた。3 ヴィクトリア女王も、夫アルバート公の髪と写真を納めたロケットを残している。黒いジェットやエナメルも、喪のジュエリーに用いられた。4

愛する存在の一部を手元に残したい。いま犬の毛を納めるジュエリーにも、そんな願いが重なって見える。

【身につける】

〈ケイウノ〉

オーダーメイドジュエリーの〈ケイウノ〉は、犬の顔やシルエットをレーザーでジュエリーに刻印できる。刻印は¥13,200から。遺骨や遺灰、遺毛を中に納められるペンダントトップも扱っていて、デザイナーへの相談にも対応している。5

〈Lazola Eterno〉

ペットの遺灰を納める指輪を専門にするブランド。指輪の内側に遺灰や毛、爪を納めて樹脂でコーティングする。6つくり手は二十年以上ジュエリーを手がけてきた職人で、表面は夜空の星のように控えめに光るつや消しで仕上げる。7アトリエ工房は浅草観音裏、いわゆる奥浅草にあり、営業は月〜水曜の11時から17時(祝祭日は振替営業)。8まずはメールで問い合わせを。

〈Omi jewelry〉

犬の毛をそのまま宝石の中に閉じ込めるジュエリーをつくっている。きっかけは、つくり手自身の愛犬シフォンが旅立ったことだったという。スクエア型の「うちの子ネックレス」は¥23,200。K18やプラチナの製品もある。オンラインでの受注制作で、制作期間は被毛・写真・刻印内容などがすべて揃ってから約三か月。9

【持ち歩く】

〈文宏堂〉のpetrap

広島・熊野で明治四十年から筆をつくってきた〈文宏堂〉10が、ペットの毛からストラップを仕立てている。さまざまな動物の毛を扱ってきた筆職人の技術で、一本一本手作業でまとめる。毛を郵送で預ける形なので、どこに住んでいても頼める。11散歩のバッグにつけておけば、いつもの道をまた一緒に歩ける。

〈Le Feuille〉の肉球キーホルダー

注文後に届くキットで足形を取り、指定の方法で返送すると、その肉球が真鍮のキーホルダーになる。手元の紙粘土で急いで型取りしたい場合も、工房への事前相談に対応している。12 足の小さなくぼみが、持ち歩けるかたちになる。

足あとは、元気なうちに

足形のサービスは、たいてい型取りから始まる。肉球の写真や粘土の型は、いなくなってからでは取れないことも多い。だから本当は、元気なうちにとっておくのがいちばんいい。

さみしい準備をしようという話ではない。工房の案内に沿って、今日のこの子の足形を残す。その小さなくぼみは、いまのこの子がここにいたという記録になる。死者の日に家族の写真を飾るように、いつか迎える夜のために、そっと引き出しにしまっておく。そんな習慣があってもいいのかもしれない。

Footnotes

  1. National Museum of Ireland:Traditions and customs of Halloween / Samhain ↩

  2. UNESCO:Indigenous festivity dedicated to the dead ↩

  3. Florence Nightingale Museum:Victorian Hair Jewellery ↩

  4. Royal Collection Trust:Decorative objects — Memorial works ↩

  5. ケイウノ:ペットジュエリー ↩

  6. Lazola Eterno:遺灰指輪とは ↩

  7. Lazola Eterno:ブランドについて ↩

  8. Lazola Eterno:アトリエ工房・お問い合わせ ↩

  9. Omi jewelry:商品一覧・ブランド紹介・FAQ。価格と納期は2026年9月30日確認。仕様や受注状況で変わる。 ↩

  10. Artisan(ZOZO):熊野筆・文宏堂 篠原紫香への取材 ↩

  11. 文宏堂:petrap 制作からお届けまで ↩

  12. Le Feuille:肉球キーホルダー ↩