七月二十六日は、土用の丑の日。人はうなぎをいただいて、夏の暑さを乗り切ろうとする。
では、隣にいるこの子は——どうだろう。気づけば最近、ごはんを残しがちかもしれない。何もしない夏のなかで、彼の食卓のことを、すこし考えてみたい。
夏は、食が細くなる
暑さがつづくと、彼らの食欲は静かに落ちていく。
理由は、私たちと似ている。体温を下げることにエネルギーを使い、胃腸の働きもゆるやかになる。とくに短頭種は、呼吸で体を冷ますのが苦手なぶん、暑さそのものに体力を削られやすい。食べないのは、不調のサインばかりではなく、夏の体が選んでいる自然な反応でもある。
だから、無理に食べさせなくていい。けれど、少量でもしっかり栄養がとれるなら、それに越したことはない。
鍵は二つ。体の熱をやさしく冷ますものと、弱った気を補うもの。
薬膳でいう「清熱」と「補気」を、ふだんのごはんにそっと足してあげる。むずかしく考えず、夏の食材を一品、添えるだけでいい。
作ってみる — 鶏とかぼちゃの、ひんやり滋養ごはん
火を使う時間は、できるだけ短く。暑いキッチンに長く立たないのが、夏の手作りごはんのコツだ。
材料(小型犬の一食分の目安)
- 鶏むね肉(皮なし)……ひと口ぶん
- かぼちゃ……ひと口ぶん
- 大根、またはきゅうり……少量
- いつものごはん、またはふやかしたフード
作り方
- 鶏むね肉とかぼちゃを、小さめに切る。
- 鍋にたっぷりの水で、やわらかくなるまで一緒に茹でる。火を止めたら、大根(またはきゅうり)をすりおろして加える。
- 茹で汁ごと、人肌から常温まで冷ます。 犬は熱いごはんを好まないし、夏はとくにひんやり仕立てがいい。
- いつものごはんにのせ、茹で汁をスプーン一杯ぶんかけて、水分も一緒に。
鶏むねは消化がよく、弱った体に気を補う。かぼちゃは甘みがあって食欲をそそり、ビタミンも豊富。大根ときゅうりは、体にこもった熱をやさしく逃がす。——夏バテの体に、ちょうどいい組み合わせだ。
味つけはしない。塩も出汁も不要で、素材の味と香りだけ。人も食べたいときは、彼のぶんを取り分けてから、塩やしょうゆを足せばいい。ねぎ類・玉ねぎは犬に有害なので、最初から使わないこと。初めての食材は、少量から試して。
そして、土用の丑には — UNATO(うなとう)
仕上げに、もうひとさじ。土用の丑にちなんだ、特別な香りを添えたい。
うなぎは、犬にも栄養豊富な食材だ。疲労回復のビタミンB1、骨を支えるカルシウム、代謝を助けるタンパク質。夏に弱った体に、これ以上ない滋養になる。
——ただし、人間のうなぎの蒲焼きは、彼らには分けられない。タレの糖分や塩分、山椒、脂、小骨。どれも犬の体には負担になる。
そこで出会ったのが、名古屋のうなぎ専門店「うなぎ家 比呂野」がつくる、犬猫のためのおやつ〈UNATO(うなとう)〉だ。
この店では、多い日で一日に百個以上ものうなぎの頭を捨てていた。それをなんとか活かせないか——フードロスへの思いから、UNATOは生まれた。
うなぎの頭には「イクチオヘモトキシン」という毒素があるが、調理師免許を持つうなぎ専門店だからこその知識で、しっかり血抜きをし、適切な温度の熱処理によって完全に無毒化している。無添加・無塩・グレインフリーで、日本食品分析センターによる栄養価分析も受けている。
捨てられるはずだった命を、最後まで使い切る。その姿勢そのものが心に響く。
粉砕した〈UNATOふりかけ〉なら、さきほどのごはんの仕上げにひとつまみ。出汁のような香りがふわりと立って、食の細った子の鼻先を、そっと誘ってくれる。うなぎの頭そのままの〈UNATO〉や、水分もとれる〈UNATO缶〉もいい。
人がうなぎで精をつける日に、彼にも彼のうなぎを。同じ食卓で、それぞれの夏を養う。土用の丑が、ふたりの記念日になる。
DATA — 夏の食卓メモ
夏は食欲が落ちやすい。無理強いはせず、少量でも栄養と水分がとれる工夫を。
手作りごはんは味つけ無用。ねぎ・玉ねぎ類は犬に有害なので厳禁。加熱して、人肌から常温に冷ます。初めての食材は少量から。
UNATOの与え方の目安は、一日に小型犬1から2個、中型犬1から3個、大型犬1から5個。食べすぎるとお腹がゆるくなることがあるので、目の届く範囲で。気になる様子があれば、かかりつけの獣医師に相談を。
